女優の南田洋子さんが亡くなった。76歳だった。デビュー作ではないが、ご主人の長門博之(75)と共演した映画「太陽の季節」が、鮮明の残っている大女優だ。「僕の愛しい、大好きで素敵な女房が、さよならも言わずに永眠いたしました」と、憔悴しきった顔で、妻の死を告げた。東京・明治座の川中美幸公演「幸せの行方 お鳥見女房」に出演中の出来事だった。
南田さんの身体に変化が起こったのは4年前だった。認知症。「脚本が覚えられない」と、自宅療養生活が始まり、おしどり夫妻といわれた長門の、献身的な介護生活が始まった。一進一退を繰り返してきたが、数ヶ月前から信じられないような回復を見せていた。長門も「お帰りなさい、 と言えるようになった」と、明るく話したときもあった。
しかし、10月17日に容態が急変する。重度のくも膜下出血で意識不明になってしまった。長門が病院に駆けつけたときは危篤状態だったが、南田さんは不自由な右手で、長門の指を強く握ったと言う。「これが最後の意思表示。痛さがいい思い出です。痛さで離してしま ったが、離さなきゃ良かった」と、行った長門が痛々しかった。
「僕の人生をよみがえらせてくれた4年間でした。本当に楽しかったし、すばらしい思い出のなかに洋子は生きています」と。夫婦の愛情物語は、これからも多くの人に語り継がれていくのだろう。通夜は29日午後6時、葬儀・告別式は30日午前10時半から東京 ・港区の増上寺光摂殿で行われる。また昭和の大スターが消えた。ああ、合唱。
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