「釣りバカ日誌」でお馴染みのスーさん・三國連太郎さんが、4月14日、急性呼吸不全で都内の病院で亡くなった。
90歳だった。
映画監督・山田洋二さんに「1本の作品にワンカット出演するだけで、その作品全体がぐっと安定する、そんな錨のような俳優でした。錨のように日本映画を支え続けた功績の大きさははかり知れません。あの大きなどっしりとした身体、彫りの深い顔、魅力的なバリトンの声が再び聞けないことを、心からさびしく、悲しく思います」と、表現した大スター。
映画「異母兄弟」の時には、老人に見えないと役のために、歯を抜いたこともあるほどの役者根性を持った俳優だった。
役にのめり込むと鬼気迫ることもあり、相手の女優さんを震え上がらせたというエピソードも。
「ビルマの竪琴」「飢餓海峡」「復習するはわれにあり」「利休」など、「スーさん」とは違い個性は俳優としての一面も大きかった。
女優の太地喜和子さん(享年48)に惚れ、3度目の結婚をした元芸者の妻と生まれたばかり息子・俳優の佐藤浩市(52)を残して家を出てしまう。
その後、母にも新しい恋人が出来、佐藤は自宅を出てしまった。
佐藤にとって多感期だった頃で恨み骨髄の両親だった。
この確執は、長く続くことになるが、96年の映画「美味しんぼ」で初共演、飛行機会社のCMに出演する辺りから少しずつ氷解していったようだ。
父の死に、佐藤は「こういう言い方は妙かもしれませんが、親父の死に顔を見て、悲しいという思いはなかった。この数年の中で一番凜とし威厳があった。ただ、涙は出なかった」と、コメント。
役者の父を尊敬したが、父親としての三國さんには「そりゃ、ひどいよ」と。
3回離婚して、その都度、全財産を相手に渡してきた三國さん。
役者としては、日本アカデミー賞3回など数々の賞に輝く日本映画史に残る名優。
自らメガホンを取った映画「親鸞・白い道」で、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したこともあったが、私生活では、波乱万丈の人生だった。
また、ひとり、大きな映画界の星が消えてしまった。
ああ、合掌。
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